2018.10.11

AI × マーケティング

マーケティング分野においてAI(人工知能)が活用される場面が勢いよく増えているようです。
マーケティングAIの種類は意外に多く、広告コピーを自動生成するAIもあれば、SEO対策をサポートしてくれるAI、広告代理店などのメディアバイイングの自動化を実現するAI、広告クリエイティブの自働的な最適化を実現するAIまであります。
今回DAは、国内・海外にどのようなマーケティング関連のAIが存在するのかを調べてみましたので、皆さんに参考として共有できればと考えています。

AIによって、マーケティング関連の仕事がなくなっていくという悲観的な声がある一方、楽観的な声も多いようで、マーケティング目的のAIは未来のマーケターを自由にしてくれるというような意見も耳にします。

現代のマーケターはとにかく忙しい。
様々なツールを通じて、キャンペーン分析やキャンペーン報告の作成などに奪われる時間も多く、斬新なアイデアや企画に集中したくても時間が思うように取れない場合も多いのではないでしょうか。
マーケティング作業の一部をAIに任せることで作業負担を減らし、マーケターは人間にしかできないような想像性を生かした仕事に集中することができるようになります。
AIという助っ人を活用することで、マーケティング分野で様々な面白いアイデアや企画が増えていく予感です。

ウェブデザイン

AIを活かしたウェブサイト自動作成サービスが増えています。今後、マーケターはデザイナーとプログラマーに頼ることなく、WEBサイトを短期間で作成する時代が訪れてくるかもしれません。

サービス例


ロゴデザイン

AIによってロゴの自動生成も可能になりました。
自動生成されるロゴの質はまだあまり高くないという声も耳にしますが、今後の改善によってロゴの質は徐々に上がっていくのではないかと考えられます。
現段階では「これだ」という完璧なロゴは生まれなくとも、完璧なロゴを作成するためのインスピレーションは得られるのではないでしょうか。

サービス例


広告デザイン・最適化

WEB用のバナー広告を自動生成するサービスはまだ少数ですが、AlibabaのLuBanというバナー広告を自動生成が可能なAIプラットフォームは1秒間に8,000ものバナー広告を生成することができるようです。Bannersnackというサービスではバナーの自動生成はできませんが、組み込まれているAIによってバナー広告のパフォーマンスを予測することが可能になります。

近年、DCO(Dynamic Creative Optimization)-バナー広告の自動最適化が話題になっています。DCOシステムは、マーケターが複数の広告画像と広告文を用意するだけで、どの組み合わせが、どのユーザー、どのタイミング、どの地域などに最も効果が高いのかを自動的に学習・生成し、各ユーザーに適した広告の配信を可能にします。

大抵のDCOツールにはCPM (Creative Management Platform)という機能が含まれています。DCOとCPMの違いですが、DCOはバナー広告の組み合わせが配信中に行われますが、CPMは広告配信前のデザイン時に利用できます。CPMによって、デザイナーは複数の画像・広告文などを短期間で複数のサイズの広告に組み合わせることができます。

サービス例


SEO(検索エンジン対策)

オーガニックな検索結果においてウェブサイトが上位に表示されるためのSEO(検索エンジン最適化)をサポートするAIサービスが登場し始めています。

サービス例

  • ALLI AI(米国)
    米国発のALLIAIはAIを活用することでSEO対策に有効なバックリンクの機会を自働的に発見、ALLIAIはさらにWEBサイトコンテンツの分析をし、SEO対策のアドバイスを自働的に提供しているようです。
  • Marketbrew(米国)
    MarketbrewのAIはSEO対策の結果を予測します。通常、SEO対策が自社サイトのランキング改善に繋がったかどうかを知るには、SEO対策を行ったその日から60日ほど必要になるそうですが、Marketbrewを使うことではマーケターは60日間待つことなく、その日でSEO対策の結果の予測を知ることができます。
  • Marketmuse(米国)
    コンテンツマーケティング戦略やコンテンツ作成のSEOアドバイスを自働的に提供。
  • Clearscope(米国)
    コンテンツマーケティング戦略やコンテンツ作成のSEOアドバイスを自働的に提供。

インフルエンサーマーケティング

自社ブランドに相応しいインフルエンサーを短期間で特定するためにAIが使用されています。
特定のSNSに特化したサービスもあれば、ほぼ全てのSNSをカバーしているソリューションもあります。

サービス例

  • Affable(シンガポール)
    インスタ限定
  • Influential(米国)
    ほぼ全てのSNSをカバー
  • Open Influence(米国)
    ほぼ全てのSNSをカバー

ユーザー感情(反応)の計測

テレビCMや広告に対して、ユーザーがどのような感情を示しているかを計測するAIソリューションが登場しています。広告だけでなく、WEBページの内容に対するユーザ反応を計測するサービスまであります。
テレビCM、動画、広告、WEBページなどに対するユーザーの反応を計測することで、企業側はより効果のあるCM、動画、広告、WEBページを作ることができるようになります。

サービス例


メディアバイイング(メディア媒体の広告予算配分)

DSPなどのアドテクサービスは日々増えています。DSP経由の広告配信は自働的なターゲティング・最適化を可能にしていますが、一方でオフライン広告やDSP以外のデジタル広告予算の最適化を実施することはできません。

大手広告代理店などによる、クライアント企業のオフライン・オンライン広告の予算配分(メディアバイイング)は、今まで広告プランナーの経験知の元に手動で行われていたのですが、近年は広告予算配分を自働的に決定するAIが登場し始めています。

例として、ドイツの自動車メーカーVolkswagenがコンパクトカー「up!」のプロモーションにデンマークのメディア代理店Blackwood SevenのAIを採用し、他社のメディア代理店によるメディア配分プランと比較して、Blackwood SevenのAIはVolkswagenディーラーの受注率を14%も上げたというデータもあります。

サービス例


チャットボット(カスタマーサポート)

AI技術を活かしたチャットボットとは、テキストや音声を通じてユーザーとの会話を自働的に実現するプログラムを指します。
チャットボットはカスタマーサポートとしてよく活用されています。チャットボットには様々な種類があり、宅配の配達状況を知らせてくれる便利なチャットボットや、商品の選択にアドバイスをくれる優しいチャットボット、レストランやタクシーの予約、ファーストフードの注文を可能にしているチャットボットまであります。
チャットボットの作成を可能にしているチャットボットプラットフォームは国内外に数十社あります。

サービス例

  • The Northface(米国)
    ショップ店員のスタイリングや商品のおススメコーディネート、店舗スタッフへのお問合せができるチャットボット。
  • ヤマト運輸(日本)
    宅急便の配送状況の確認などができる運輸会社ヤマト運輸のチャットボット。
  • UNIQLO(日本)
    店舗検索、商品紹介などのサービスを提供するUNIQLOのチャットボット。
  • Starbucks(米国)
    コーヒーの注文・決済が簡単にできるスターバックスのチャットボット。
  • Mastercard(米国)
    購入履歴などを教えてくれるクレジットカード会社Mastercardのチャットボット。

レコメンドエンジン

AI技術を活用したレコメンドエンジンは、Amazon、楽天、Netflix、Spotifyなど、数多くのサイトに使われており、ユーザーが見たり購入した商品と関連性の高い商品を各ユーザーに表示させることで、購入や視聴などを促すシステムになります。
レコメンドエンジンを提供する企業は多数あり、下記はそのごく一部です。

サービス例


広告コピー、商品紹介文

AIのNLP(自然言語処理)技術を活かした広告コピーなど、文章を自動生成するサービスが国内外に共に増えています。
海外の大手広告代理店「Saatchi & Saatchi」ロサンゼルス支店が手がけたトヨタミライのキャンペーンでは、IBM Watsonを利用して数千の広告コピーが生成され、その膨大な広告コピーからSaatchi & Saatchiのコピーライターが実際のキャンペーンに採用するコピーを審査しました。

日本では電通のAIコピーライター「AICO」が生成したコピーが新聞広告や広告ポスターなどに使われています。

サービス例

  • Persado(米国)
    Persadoは様々な用途の文章を自動生成します: メール配信、広告コピー、ランディングページコピー向けなど。
  • Wordsmith(米国)
    米国のAutomated Insightsが提供しているWordsmithはデータに依存した情報(スポーツ、株価情報など)に関する記事を自動生成します。
  • AICO(日本)
    電通と静岡大学の狩野研究室をはじめ、様々なプロダクションやメンバーによる産学連携の共同研究で誕生した「AI Planners MAI & AICO」のコピー生成システム「AIコピーライターAICO」は簡単な操作一つで大量の広告コピーを生み出すことができます。
    「AIマーケターMAI」は、テレビのメタデータを収集し、戦略キーワードを生み出すサポートを行うシステムです。
  • Quill(米国)
    Narrative Scienceが提供している「Quill」は広告キャンペーン結果の説明や商品紹介などの文章を自動生成します。
  • Phrasee(英国)
    イギリスのPhraseeはメルマガなどの件名コピーを自動生成します。コピーの完成度は高く、人間によるコピーとPhraseeが生成したコピーの質を実際にテストした結果、Phrasee作のコピーはほぼ例外なく(98%)勝っているようです。

MA(マーケティングオートメーション)

AIの活用はMAという分野にも浸透しつつあります。
機械学習の活用によっては各ユーザの特徴に合わせたパーソナライズドマーケティングが可能になります。
ユーザーの行動データを元にMAシステムは複数の顧客セグメントを作成し、各セグメントに適したメールや広告配信を可能にしています。

サービス例


CDPプラットフォーム

CDP(カスタムデータプラットフォーム)の利用が増えています。AIを活用することによって、顧客は自動的なセグメンテーションや類似オーディエンス(Look-Alike Targeting)の作成が可能になります。

サービス例


ソーシャルリスニング/メディアモニタリング

ニュースやSNS(Facebook、Twitterなど)への投稿内容が、自社ブランドや商品に対してポジティブであるか、ネガティブであるかをAIによって計測・分析し、ブランディングやマーケティングを行う上で参考となる情報を得ることができます。

AIによって、SNSを分析することで、ブランドや商品に対するユーザー感情(悲しみ、喜び、怒り、不安、嫌悪)まで計測可能です。テキストの分析だけではなく、ブランドや商品が含まれている画像の分析なども提供しているサービスが最近は増えているようです。
また、ソーシャルリスニングは既存客や見込み客の特徴を把握する用途にも適していると思われます。

サービス例


実店舗のビジュアル分析・ターゲティング

実店舗(小売店、レストランなど)の内外にAI対応の監視カメラを設置することで顧客の顔認識が可能になります。
それによって、リピーター客の訪問率や店舗周辺にいる顧客の訪問率など、行動パターンのトラッキングが可能になります。得られた行動データの分析によって、店舗内陳列の最適化やマーケティング施策のパフォーマンス計測ができます。
アメリカでは、車のナンバープレートをカメラで自動的に取得・分析し、サードパーティのデータと連携させることで、非常にパーソナライズされたプロモーションを実現している例もあるようです。

サービス例


売上・需要予測

売上や商品・サービスの需要を予測するAIも大きな注目を集めています。人間にはなかなか対応しきれない膨大な情報(過去の実績、季節要因、営業コール、営業訪問など)から予測ができるのはAIの大きな強みです。またAIの学習が進むことで、予測の精度改善も期待できます。より正確な予測によって、さらなる効率的な在庫管理、人事決定などの効果が期待できます。
様々な無駄が省けることが、売上・需要予測AIによって得られる大きなメリットと言えるかもしれません。

サービス例


DSP広告配信

DSP広告のプラットフォームは広告配信の最適化で無駄の少ない広告配信を可能するためにAIを活用していきます。

サービス例


アドベリフィケーション

アドベリフィケーションとは、DSP広告が暴力やアダルトコンテンツなど含む不適切なサイトに配信されることを防ぐブランド保護、広告がユーザーの見えないところに表示されることを防ぐビューアビリティの保証、広告がボットなどによって不正クリックされることを防ぐアドフラウド対策を提供するツール・機能のことです。
広告主はアドベリフィケーションを利用することで、安心して、広告のブランドを守りつつ、広告のエンゲージメント(クリック率など)を向上させることができます。アドフラウドや不適切なサイトへの広告表示を防ぐにはAI技術が活用されています。

サービス例


CROツール

WEBページのABテストやパーソナライズ施策を可能にするCROツールでもAIの活用が増えています。AIを活用することによって、コンバージョン率を最大化していくための自動最適化を実施することが可能になります。

サービス例


価格設定

商品やサービスの価格を自動的に調整するAIソリューションが増えています。
AIは商品の需要・供給、時間・時期、天気、混雑状況、ユーザーの現在位置などの情報を元に価格を設定します。例えば、交通の混雑時にはタクシー料金が自動的に高くなったり、気温が30°を超えるとアイスクリームの値段が上がったりなどです。逆に混雑のない時はタクシー料金が下がり、気温が20°を下回るとアイスクリームの値段が下がるというような調子です。
AIによる自動的な価格設定は通称「ダイナミックプライシング(Dynamic Pricing)」と呼ばれ、配車サービス「Uber」やECサイト「Amazon」はダイナミックプライシングを活用しているようです。今後は実店舗にもAIによる自動価格設定が登場すると思われます。実際にドイツのスーパーマーケットグループ「Kaufland」では、すでに商品の値札をデジタル化し、ダイナミックプライシングを導入しているようです。

サービス例


画像認識によるユーザーターゲティング

AIの画像認識を利用することで複数のデモグラフィック(年齢や性別など)やサイコグラフィック(ライフスタイルやソーシャルクラスなど)のプロファイルを持ったユーザーに対する、よりパーソナライズした広告配信などが可能になります。
広告業界では画像認識の様々な活用が考えられます:屋外広告の前に女性が現れると、女性服の広告を配信することもできれば、WEBで「猫」の画像を見たユーザーにキャットフードの広告を配信したり、高速道路で高級車が通ると、近くの大型看板に高級マンションの広告を表示させるなど、画像認識を活用し、各ユーザーの「特徴」に合わせた広告やその他の情報配信を可能にします。

サービス例

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