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富士山頂で理想の半熟卵!ゆで卵の伝熱シミュレーター

2015年テレビでの卵レシピランキング※ワイヤーアクションデータ

こんにちは、代表山本の大学の後輩のたつおです。フードサイエンスのブログを書いていたため、今回駆り出されることになりました。
前回、代表山本が「今年の7月は卵がヒット」という分析をしましたが、今年テレビで紹介された卵のレシピ(111件)を調べたところ、最も多いのは、「ゆで卵」を使ったレシピでした。

図:2015年 テレビでの卵レシピランキング
※ワイヤーアクションデータ

ゆで卵の調理は難しい!

卵をゆでる。簡単なように思えますが、レシピ通りにやってもなかなか上手くいかないものです。
例えば、あるレシピにはこう書いてあります。「半熟卵の作り方。常温に戻した卵を、沸騰した湯で10分ゆでた後、冷水で冷ます」。しかし、四季のある日本、レシピ通り常温の卵を使った場合でも、夏は固ゆで、冬は生ゆでになってしまうのです。
そこで、7月のヒット食品の卵をより楽しむために、最適な茹で時間計算するシミュレーターを開発しました。

卵を茹でることを物理現象として考える

卵をゆでる過程は物理現象として非常にシンプルです。お湯へ卵を入れると、熱はまず卵の外側の温度を上げた後、内部へと伝わっていきます。卵の白身は73℃、黄身は63℃を超えたあたりから固まり始めます。ゆで卵を作る際には熱が伝わりやすい外側にある白身はすぐに固まるため、卵の出来具合を決めるのは「内側の黄身が何度になったか」ということになります。
また、ゆで時間は、卵のサイズ/初期温度によって変化します。サイズが大きいほど内側(黄身)に熱が伝わるまで時間が掛かりますし、最初の温度が低ければ、卵が固まる温度に上がるまで、より多くの時間が掛かるからです。

伝熱シミュレーターの構築

物理学の熱伝導方程式を卵に適用しました、それにより、卵のサイズ・卵の初期温度・調理場所の標高 (標高により水の沸騰する温度が変化) を入力することで、その状況での卵内側の熱分布の時間変化を可視化しました。
また、それによって好みに合う最適なゆで時間を出力できるようにしました。

Boiling Egg Simulator

卵の初期温度、大きさ、標高(水の沸点に影響)を入力することで、最適な卵のゆで時間が計算できます。

パラメータ1 卵の初期温度(℃)
5℃
冷蔵庫保存
10℃ 15℃ 20℃
室温保存
25℃ 30℃ < >
 
 
 
パラメータ2 卵の大きさ(直径, mm)
mm
5mm 30mm 40mm 50mm 60mm 150mm 300mm < >
 
 
 
ウズラ ニワトリ ダチョウ
※タマゴのアイコンをクリックしても入力できます
パラメータ3 調理場所の標高(m)
m
500m 1000m 2000m 3000m 4000m < >
 
 
 
長野 371m スカイツリー 634m 富士山頂 3776m
シミュレーション開始
※最新版のブラウザでお試しください(IE11以上が必要です)
黄身温度

卵の状態

時間
58度以下 まだ固まりません --
表面-
中心-
茹で具合:レア
白身は十分固まっている
黄身はケチャップ~ハチミツ程度の粘度
--
表面-
中心-
茹で具合:ミディアムレア
黄身の外側が固まり始める
内側はピーナッツバター程度の粘度
--
表面-
中心-
茹で具合:ミディアム
黄身がしっとりと固まった
色がオレンジ色~黄色に変化
--
表面-
中心-
茹で具合:ウェルダン
黄身は十分固まっている
--
表面-
中心-
茹で具合:茹で過ぎ
黄身のパサつきを感じるようになる
硫黄の臭いが少し気になる
--
シミュレーション終了

※本シミュレーションの結果は以下のレシピを用いた場合に再現性があります。
(1) 卵を沸騰したお湯に卵を入れる。
(2) 卵を湯から取り出し後、流水(水道水)で45秒冷やし、氷水につける。
(卵を氷水で冷やすのは、季節による気温変化の影響を除くためです。)

シミュレーターを使った実験

せっかくシミュレーターを作ったので、各都道府県の県庁所在地の最適な茹で時間を計算しました。
最も茹で時間が長いのが長野、最も茹で時間が短いのが神奈川となっています。下のグラフは神奈川と比較した茹で時間の差を示しています。茹で時間に1分弱の差が有ります。

各都道府県の県庁所在地の最適な茹で時間

続いて、日本地図を茹で時間に応じて着色しました。茹で時間が長いほど濃いオレンジになります。
最も離れている北海道と沖縄では、茹で時間が1秒しか違いませんが、近いからといって神奈川⇒山梨⇒長野と移動すると茹で時間変化の急激さに戸惑うことになります。さらにうっかり途中で富士山頂に寄ろうものなら、神奈川よりも17分20秒も茹で時間が長くなるため、山頂についた感動が冷めたくらいの微妙なタイミングでゆで卵が出来ることになります。

各都道府県の県庁所在地の最適な茹で時間

【実験】実際に卵を19個茹でてみた

自然現象は理論通りに行くほど甘くありません。シミュレーションの結果を検証するために、実際にゆで卵を作って食べてみました。

材料準備

(1)卵のサイズ選定
まず、近所のイオンで卵を26個購入しました。
(個人の感想ですが)イオンの卵は大きさが揃っており、ゆで卵やケーキなど卵の大きさが重要となる料理に使いやすいです。

卵のサイズ選定

26個の卵を、自家製の”ノギス”で直径(短い方)を測定し、直径ごとに分類しました。
今回は数が多い45mm,46mmの卵(19個)を用いて実験を行うことにしました。

選定→サイズごとに分類

卵の初期温度
赤外線で測れる温度計で卵の温度を測定。10回の平均値は23.1℃でした。
(お持ちでない場合は、大体の室温で大丈夫だと思います。)

卵の初期温度

(3)標高(沸点)
家のある場所の海抜はおよそ30m,沸点は99.9℃です。

実験器具準備

卵をゆでる水、冷やす水はあらかじめ用意しておきます。

実験器具準備

以上で準備は完了です。

今回の実験のレシピ

・直径(短い方)が45~46mm、温度が約23℃の卵を19個用意する。
・沸騰したお湯(100℃)に卵を入れる。
・一分ごとに卵を取り出し、水道水(約20℃)に45秒さらした後、氷水(約0℃)に充分時間浸す。

今回の実験のレシピ

結果

半分に切ったゆで卵を、ゆで時間順に並べました。
時間とともに白身、黄身が固まっていく様子がわかります。

半分に切ったゆで卵を、ゆで時間順に並べました

ゆでた卵を触って、実際に食べた結果をまとめました。
驚くべきことにシミュレーターとほぼ同様の結果となっています。シミュレーターの調理の現場での実用化が期待されます。

白身の状態 黄身の状態 卵の出来具合 使い道(案)
1     ロー(生) 卵かけご飯
2    
3    
4 半透明のゼリー状  
5   ケチャップ程度の粘度
6     レア 味玉(漬け汁の塩分で
黄身がゼリー状に固まる)
7 充分固まる はちみつ程度の粘度
8   外側が黄色く固まり始める ミディアムレア 黄身と絡ませたい料理への
付け合わせに
9    
10   ピーナッツバター程度の粘度
11   色がオレンジから黄色へ ミディアム そのまま食べるのに最適
12    
13    
14   充分固まる ウェルダン ポテトサラダやサンドイッチの具など、
潰して使いたい場合
15    
16    
17   パサツキを感じる 茹で過ぎ ×
18   硫黄の臭いを感じる
19    

まとめ

改めまして、今日はゆで卵シミュレーターの紹介をさせていただきました。『普段とちょっと違う茹で加減のゆで卵を作りたいとき』、『幼稚園のキャラ弁用にウズラのゆで卵を入れたいとき』などに活用していただけますと幸いです。
今回はフードサイエンスの片鱗を見せるにとどまっていますが、この他にも卵チャーハンの混ぜ方シミュレーター、食材を変えてエクセルで開発する肉の焼き方シミュレーターなどもありますので今後にご期待ください。
たつおでした。

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