マシーンドクターであるAI(人工知能)がどのように命を救うか

近年、大きな盛り上がりと広がりを見せているAIですが、IDCによると、世界中でAIと認知コンピューティングに費やされる費用は、2020年までに約460億ドル(46億ドルではなく460億ドル)に達すると予測されており、すべての大手ハイテク企業がものすごい勢いで飛躍を遂げています。

しかし、そんなAIとは何なのでしょうか?

ヒラリー・メイソンによれば、今日のAIは「何かしらの目的でデータを使用するシステム」という意味合いの用語として誤って用いられています。本来の意味でのAIとは「AI自身で学び、関連を作り、実際の人間の行動を知的に模倣するためにビッグデータを処理するシステム」です。次の購入を予想するAmazonや、驚くべき精度の高さで音声入力を解読するSiri、友人以上に高速な音楽リコメンドエンジンPandoraなどはAI技術によるものです。しかし、AIは「あったらいいな」という段階を越え、真なるビジネス領域へ進んいます。

ロボット工学が製造業に参入したのと同じように、AIは、ありふれた反復的作業を自動化することで、医療分野でも地位を確立しています。これは特に癌を検出する場合に当てはまります。

ディープラーニングを活用することで、アルゴリズムは癌を表す画像のピクセルセットを区別できるようになりました(Facebookの画像認識ソフトウェアが自動で友人をタグ付けを行うこととは異なります)。このソフトウェアは、人間には不可能なレベルでの異常検出を行うために数百万の医療画像(MRI、CTスキャンなど)を1日でスキャンすることができてしまいます。

それだけではなく、これらのアルゴリズムは常に学習と進化を続けており、新しいデータセットを組み合わせることで更に改良されていきます。大手ハイテク企業やベンチャー企業によって、あなたの近くの病院にこれらのディープラーニングアルゴリズムが導入されれば、放射線医学、皮膚科学、病理学は激変するでしょう。

実際にいくつかの例があります。FDA(アメリカ食品医薬品局)は、医師が心臓の異常を分析し診断するのに役立つAIを搭載した医療用イメージングプラットフォームの認可を受けました。 FDAが臨床現場で使用するための機械学習アプリケーションを承認したのはこれが初めてです。

しかしAIは人と比べてどれぐらい効率的なのでしょうか?ソフトウェアプログラムが退屈したり、気が散ったり、Facebookを20分ごとにチェックしないという事実を除いても、AIはデータ分析において指数関数的に優れています。

たとえば、IBMのWatsonを例にとりましょう。ワトソンは、腫瘍細胞と健常細胞の両方からのゲノムデータを分析し、わずか10分で実用的な見識を導き出しました。人間は同じデータ分析に160時間を必要とするのです。診断はさておき、AIは調合薬の分野でも活用されており、新薬を発見するという非常に時間がかかる面倒な作業をサポートできるのです。

しかし、AIは単なる裏方のプレーヤーではありません。ガートナーは、2025年までの間に、人口の50%は日常的な初期治療のために、AIを搭載した「仮想個人健康アシスタント」に頼ることになるだろうと予測しました。これは、コンシューマー向けの音声とチャットで作動するSiriやCortanaなどのアシスタントが、接続されたすべての医療機器やリアルタイム生態データを処理するアルゴリズムの相互作用の中心となることを意味しています。

これらのアシスタントは、現在の健康状態を知らせ、個人的な健康目標のデジタルファシリテーターとしての役割を担い、そして実際に医師に診てもらう必要性を通知してくれる24時間稼働の健康警告システムなのです。

膨大なデータや自己学習アルゴリズムの進歩のおかげで、医療はリアクティブモデルから予防モデルへと移行しており、ケアを提供する方法に革新を起こしています。Elon MuskのAIに関する芳しくない予想がどの様なものかはまだ分かりません。しかし、確かなことが1つあります。それは、AIが私たちの命を救っているということです。

Image Credit: Jolygon / Shutterstock.com
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This article originally appeared on Singularity Hub, a publication of Singularity University.

この記事はSingularity Hubに掲載された記事を翻訳したものです。