WowcherはどのようにAIコピーライティングを活用してFacebook広告のコストパーリードを31%減少させたか

2015年、EconsultancyがPhraseeというスタートアップを立ち上げました。Phraseeは、Econsultancyに定期的に寄稿しているパリー・マルム氏の新構想で、高度な機械学習アルゴリズムを使って、メールのタイトル文を最適化し、人間が考えた文章を上回るパフォーマンスを出すという試みです。

その頃、当時私たちの編集者をしていたグラハム・チャールトン氏がマルム氏に、その後数年間のPhraseeの計画について尋ねた時、彼は「アイディアは無数にあり、特に優れたものもあります。もっとも難しいのは最初にどれを実行するかを決めることです」と答えました。

「Phraseeは言語に限られたものではありません。他のあらゆる構造化されたセットに対して、私たちは機械学習のモデルを応用することが可能です。現在開発中のものの中には、タイトル文を考えるよりも、はるかにクールな製品がありますが、発表の準備ができないうちにそれについて話をしたらCTOは私の顔を殴るでしょう…。」

昨年、Phraseeはついに、発足以来最大の開発製品の一つを発表する準備を整えました。2018年9月、FacebookやInstagramなどの有料のソーシャルメディア広告に使用可能な、 AIを活用したコピーライティングツールをローンチしたのです。

私は、Wowcherと協力してPhraseeの新しいAIを実装してくれた人物である、Tomorrow TTHのアカウントディレクター、サラ・カルテル・ブセタ氏と、新しい技術を実装して検証を行う方法とその結果、そしてAIのマーケティングにおける未来はどのようなものかについて話をしました。

さらに私はPhraseeのCEOであるパリー・マルム氏とも、新しい技術の仕組みや、それがPhraseeのメール向けコピーライティングとはどのように異なるのか、さらにそのアルゴリズムがどのようにしてそれぞれのブランド独自の文体、例えば絵文字の使用などを学んで、それを表現したのかについて情報を共有しました。

WowcherはどのようにAIを活用し、自社のFacebook広告を最適化したか

PhraseeがFacebookとInstagram広告向けの新しいコピーライトツールをローンチした時に、Wowcherのチームは、すでに自社のメールマーケティングにPhraseeの技術を取り入れていたため、その新製品を試したいと感じました。

「Phraseeが有料のソーシャル広告に自社の技術を取り入れたのはそれが初めてのことでした」とサラ・カルテル・ブセタ氏は言います。「しかし、Wowcherを使ってその技術をテストし、そのパフォーマンスを見て興奮しました。」

Tomorrow TTHとWowcherは、Facebook広告のコピーライティングにAIを使うことに躊躇いは無かったのでしょうか?

「もちろん、ありました」とブセタ氏は言います。「新しい技術を使って新しいキャンペーンを行う際には、それが機能しない可能性も、逆に非常に上手く機能する可能性も存在します。私たちは最初、かなりの低予算でスタートし、毎日Phrasee とWowcherにメールで連絡を取りました。そのことがキャンペーンへの信頼を築いてくれました。」

「キャンペーンは少し大変なものでした。というのも、Wowcherは毎週大量の広告を生成するからです。彼らは多くの宣伝を行っていました」とブセタ氏は説明します。「一週間の間、ある宣伝が非常にうまく機能したとしても、次の週にはそれほどの効果はないかもしれません。したがって、システムは非常に動的な仕組みでした。主な目標は、Phraseeの技術と人間によるコピーをA/Bテストを使って比較するというものでした。」

私たちはPhraseeの技術で生成した4つの異なるコピーと、人間の書いたコピーを1つ使い、どれがもっとも効果的かを検証したのです」

Tomorrow TTHは同じ商品に対してFacebook上に様々な広告を掲載し、直接比較することが可能なようにしました。この仕組みには、Facebookのアルゴリズムが時間の経過につれて、学習をしてパフォーマンスを改善することができるようになる、というメリットがありました。

人間の書いたコピー(左)vsAIが生成した広告コピー(右)

広告における優れたコピーの重要性

AIのツールが成果を上げ始めたため、Tomorrow TTHとWowcherは徐々に予算と掲載する広告の規模を拡大しました。AIによって最適化された広告は、Wowcherのコストパーリード(CPL)を31%も削減することに成功しました。さらに他のメリットもありました。つまり、関連度スコアが大きく向上したのです。

Facebookでは関連度スコアは広告の質を測定するソーシャルネットワーク上の仕組みで、Google広告の品質スコアと似たものです。質と関連性が高い広告ほど、関連度スコアは高くなり、Facebookはプラットフォーム上でその広告を多く提示するようになります。その広告のコストパークリック(CPC)も抑えられ、はるかに大きなリターンを生みます。

「良い関連度スコアの目安は7くらいですが、私たちがPhraseeで生成した広告の関連度スコアは約9で、時には10を記録することもありました。これは非常に素晴らしい結果です」とブセタ氏は言います。

「私は、この結果は広告におけるコピーの重要性を示していると考えます。一般的に、広告ではクリエイティブであることが強調されます。私たちはクライアントに少なくとも二週間ごとに、クリエイティブな要素を変更するように助言します。私たちはコピーにはそれほど着目していませんでした。しかし、今回の結果で、広告の影響力におけるコピーの重要性が示されたのです。」

このことはコピーライターの技術の価値を高めることにつながるのかもしれませんが、Phraseeのようなツールの存在を脅威に感じて、仕事を奪われるかもしれないと懸念しているコピーライターも存在します。(PhraseeのCEOパリー・パルム氏は常に、同社が『コピーライターを愛して』おり、彼らを多く雇用していることを熱心に強調します。AIが機能するのは、メールのタイトルやソーシャル広告のコピーのような小規模な構造化された言語セットの中だけで、人間の長文コピーを上回ることはできないのです。)

AIはPPC広告において本当に人間よりも優れているのか?

多くの分野のプロたちは、より安価で効果的なAIに仕事を奪われるという恐怖と戦っています。そしてマーケティングもその例外ではありません。しかし、AIは人間の仕事を奪うのではなく、人間の能力を拡張するにすぎないと主張する人々もいます。私はブセタ氏に、マーケティングの分野におけるAIの未来像について彼女の考えを聞きました。

「私はAIの活用にはメリットがあると確信しています」と彼女は言いました。「そうした技術を検証する機会を持つべきです。私たちは常にクライアントのために新しい技術を導入して、競争力のある広告を提供しています。そして今回の場合には、AIのアルゴリズムは結果を出してくれました。」

「また、そうしたアカウントは非常に動的で、私たちは多くの様々な広告を作らなければならないので、新しく効果的な広告を作ることは時には困難なものです。そうした事情を考えれば、AIは多くの時間を節約してくれて、それも人間のコピーの代わりになることで時間を節約してくれました。」

「私は、マーケティングにおいて重要なことは、新しいものを試すことだと考えています。私たちは常に今回のような技術をキャンペーンに取り入れる方法を模索しています。」

メールから他分野への進出

Phraseeがいかにして新しいツールを生み出したかを理解するために、私はPhraseeのCEO、パリー・マルム氏に、何がきっかけで彼の会社はメールの技術から発展して、有料のソーシャル広告の分野にまで進出したのかを質問しました。

「初期段階から、顧客たちは私たちの技術を他の領域に応用するように依頼してきました」とマルム氏は言います。そうした要望の中で多かったのが、FacebookとInstagramでした。初期の検証を経て、私たちは自分たちの技術、つまり言語生成と予測エンジンが、メール以外の分野においても非常に効果的だと発見しました。それをきっかけに、進出を決めました!」

私は、PhraseeのAI生成によるコピーの基盤となっている技術の仕組みについて尋ねました。それはメールのタイトルを作るために使われていた技術とは大きく異なるのでしょうか?

「コアとなる技術は同じです。私たちの技術は今までになかった言語を生み出し、その大規模なスケールでの効果を予測します」とマルム氏は答えました。「主な違いとしては、その方法論とエンジニアリングがあります。私たちはコアAIの99%をスムーズに移行することが可能でした。」

絵文字の使用の学習

PhraseeのツールがFacebookとInstagramで生成したコピーの例を見た際に、私はAIが、ちょうど人間が行うような方法で、絵文字をコピーに組み込むようになった仕組みについてもっとも興味を惹かれました。文章のどこに、どのタイミングで絵文字を使うかはもちろんのこと、AIはどのようにして様々な絵文字の意味を理解したのでしょうか?

「人間は絵文字を使用する文脈の妥当性を理解するのに多くの時間を使います。絵文字は感情を表す新しい方法だからです」とマルム氏は私に言いました。「しかし、私たちのAIはそんなことは気にしません。何が正しくて何が間違っているかという先入観がないのです。発話の他の箇所と同じような方法で絵文字を捉えるのです。したがって、そのレベルまで構造分解を行ってしまえば、もはや『どのようにして』という質問は重要ではありません。それがうまく機能しているという事実が重要なのです。」

絵文字の使用の学習:Phraseeのアルゴリズムは、AIが生成したこれら9個のコピー(そして人間が書いた1つのコピー)によって示されているように、「発話の他の箇所と同じような方法で絵文字を捉え」ます。

もちろん、Phraseeのアルゴリズムはゼロから開発されて維持されているわけではなく、同社には並外れた知識を持つ言語学者がいます。その事が大きな支をになったのは間違いありません。特にそれぞれのブランド独自の文体を捉える際には重要だったはずです。Phraseeはそれを達成できたことを非常に誇りに思っています。

「私たちには計算言語学者からなるチームがあります」とマルム氏は言います。「私たちはさらに、言語生成のための社内のプログラミング言語も開発しました。私たちの言語学者たちは、それぞれのブランド向けに調整した言語生成のモデルを作り出します。」

「私は技術的な内容で皆さんを退屈させることはありませんが、それが生む結果については当たり前すぎて退屈なものでしょう。つまり、高い効果を生み出す、ブランドの意向に沿った文脈に敏感な言語です。素晴らしくはありませんか?」

AI言語の技術者の日常では、Phraseeは今後どこに向かって行くのでしょうか?私は同社がコピーライティングの他の分野に、おそらくは例えば他のソーシャルチャンネルや、有料サーチの分野に進出する計画があるかを尋ねました。マルム氏は(どの分野かは明かしませんでしたが)、他の分野に進出するプランは間違いなくあると教えてくれました。実際のところ、彼らは様々なチャンネルにおけるアルファテストをかなり深いレベルにまで進めています。

「おそらく、私が学んだ重要なことの一つは、私たちが努力するのは自分がそれをできるからではなく、顧客がそれを必要とするから頑張れるのだ、ということです」とマルム氏は考えを巡らせます。「Wowcherがわが社に連絡してきて、『PhraseeをFacebookで使ってみたい』と相談してきた時、私たちは研究開発のリソースをその実現のために投資したのです。また別の顧客は『○○でPhraseeを使いたい』と言いました。だから私たちはその実現のためにリソースを投資しているのです。」

この記事は、Econsultancy に掲載された「How Wowcher used AI copywriting to reduce Facebook ad CPL by 31%」を翻訳したものです。