AI(人工知能)が消費者の行動をどのように変えていくのか

AIを活用したWebサイトは、消費者がスマートなデジタルショップアシスタントをさらに頼るようになるにつれ、消費者を変えて支出をさらに増加させることになるでしょう。

AI革命に影響されない産業はほとんどないと予想され、自動車メーカー、医療系大企業、大手銀行などがAIを取り入れることになるでしょう。 AmazonのAlexaやGoogle HomeなどのAI対応のデジタルアシスタントの登場により、消費者は全く新しいオンラインショッピングを体験しつつあります。

ITコンサルティングとアウトソーシングサービスプロバイダーであるVirtusaPolarisのグローバルデジタルソリューション部門副社長のFrank Palermo氏は、ダイナミックAIソリューションは、オンライン小売業者と消費者の両者にとってゲームチェンジャーだと考えています。

「レスポンシブ・リテールはすでにピークを迎えました。業界の次のステップはAIの予測機能を活用したeコマースです。 」とPalermo氏は言います。「AIが購買の意思決定において果たす役割は日に日に大きくなり、小売業者は他社との競争に勝つために、これまでよりもはるかに賢くデータを活用する必要があるでしょう。」

デジタル消費者は、無限に商品があふれる市場からの商品選択に疲れ始めており、熱心な買い物客さえ圧倒してしまう程です。米国のコンサルティング会社、Walker Informationは、2020年までに顧客体験が価格と製品以上にブランドの差別化要因となるだろうと予測しています。eコマース企業は、ますます要求が厳しくなる消費者のニーズを満たしたいのであれば、AIソリューションを取り入れるべきです。

現状

進歩し続けるAIソリューションは、購入者のオンラインブランドとの関わり方、特にバーチャルアシスタントやチャットボットを利用した製品購入を大きく変化させるでしょう。

「冷静かつ合理的なマシンが意思決定を下すようになれば、マーケティングとブランドのアイデンティティの重要性は大きく低下するでしょう。適切なタイミングで最良のオファーを提供することが最も重要なのです。これを実現するための鍵は、商品購入の背景を理解し、それを他の潜在的なニーズに当てはめることです」とPalermo氏は語ります。

eコマース業界におけるAIの最大の強みは、顧客が一貫性のない行動を取る、流動的な状況に迅速に適応できることです。AIスタートアップであるFluid AIの最高経営責任者Abhinav Aggarwal氏によると、この機能はすでにe-コマースブランドによって、消費者自身でさえ必要だと気付いていなかった商品を提案するために使用されているとの事です。

同社のソフトウェアは、顧客行動をクライアントのために予測する目的で使用されていました。ある日、吹雪に見舞われたある都市にいるユーザーの行動が突然変化しました。

「日中に送信された電子メールやアプリ内通知をいつもは無視していたユーザーも、家にいてすることがない時にそれらを受け取った場合には、そうしたメールや通知を開きつつありました。 AIシステムは1時間以内に新しい状況に適応し、稼働時間中にさらに多くの販促資料を送付するようになりました」とAggarwal氏は述べています。

最適な時間に消費者と接触をすることで、その当日と翌日は売上が大幅に増加し、普段どおりの日に戻るとAIは再び適合してメッセージの数を減らしました。

数社のオンライン小売事業者は、潜在顧客が自身のニーズに最も適した製品を選ぶサポートをするため、もしくは単純に購入プロセスをより自然なものとするために、独自のAIを活用したプラットフォームの開発までも行っています。しかし、ハイテク業界には、テキストによる検索が将来的には画像検索に取って代わられると予想する関係者も存在します。

IBMのAIコンピューターシステムWatsonのディレクターであるCarrie Lomas氏は、「2017年は、顧客が望む製品の画像をアップロードして検索する状況になるでしょう。 画像認識技術により、小売業者は検索対象商品に類似した補完的な商品を提示することができます」と述べています。

AIのeコマースへの応用には限界があります。消費者がすぐさまテキスト入力から音声入力に移行することはないと認識する必要があります。 「オンラインショップが、現実の店舗を完全には淘汰しなかった様に、チャットボットによってオンラインショッピングが無くなることはないでしょう。これは特に、商品購入前に平均10〜15のレビューを見ているミレニアム世代に当てはまります」とPalermo氏は述べています。

UXデザインエージェンシーEvery InteractionのディレクターJon Darke氏も同意します。 「音声で複数の選択肢を調べたり、比較することは簡単にはできません。ユーザーインターフェースを持つことで、オンライン利用の大部分について、多くのメリットを得ることができ、それは音声による意思疎通よりも優れたものであり続けるでしょう」と彼は言います。

デジタル消費者が、苦情を解決したり質問への回答を得るための簡単なカスタマーサービスプラットフォームとしてAIサービスを使用するのか、もしくは消費者が望む最適な製品選択をサポートする本格的なデジタルコンシェルジュとして使うことになるのかはまだ分かりません。

AIの未来

AI技術の次のステップは、完全にユーザーの視覚や聴覚に訴えるパーソナライズされた体験を提供するウェブサイトでしょう。 AIや機械学習を通じて、買い​​手の習慣や好みや行動を包括的に理解することが可能になっており、eコマース企業は、視覚を通じてユーザーに接触してUXを向上させる方法をカスタマイズすることができます。

「視覚や聴覚に完全に特化したウェブサイトは、購入行動と選択を大幅に変えるでしょう。一度の買い物あたりの購入者の平均利用額は、これらのウェブサイトによって大幅に増加しています。感覚に訴えるウェブサイトはよりスマートな誘導を行い、ユーザーが疲れ始める前に商品を購入できるようにするか、ユーザーの気が散る前に購入させるのです」とAggarwal氏は述べています。

たとえば、これらのウェブサイトでは以前の購入パターンに基づき、歯磨き粉がいつ減っているのか、次の夕食会がいつ開催されるのかを知り、商品が必要な時期に購入を促します。

「新しいAIに基づく製品は、製品に対する深く細かな理解と買い物客の意図に関するリアルタイム分析を組み合わせています。例えば、どの製品をクリックしているのかなど、買い物客が何をしているのかを理解することで、AIは購入したい製品が見つかるまで、継続してオススメ製品を提示することができます」とAIスタートアップのSentient TechnologiesのCMOであるJon Epstein氏は説明します。

購入者は、eコマース企業からパーソナライズされたオファーがさらに多く提示されることを期待し、買い物のプロセス全体が、不要な干渉の存在しない、可能な限り自然なものであるべきだと考えるようになるでしょう。オンラインメディア調査企業であるcomScoreによれば、オンライン小売業者がAI分析と人による分析を正しいバランスで行うことができれば、毎年未購入で破棄されているオンラインショッピングカート内にある67%以上の商品が購入されることになるそうです。

カスタマーエクスペリエンスを向上させるためにAI技術を活用していない企業は、AIを活用する競合他社との競争に勝つことはできません。しかしAIが人間の行動の複雑さを完全に解釈するためには、まだ改良の余地があります。

「消費者はまだリアルなコミュニケーションを期待しています。例えば、Facebook上で友人の赤ちゃんの写真にイイねを押したからといって、彼らがベビーフードを買いたがっていると短絡的に考えてしまう、というような間違えを犯さないようにしましょう。消費者は商品を押し付けられるのを好みません。彼らは自分たちに向き合ってほしいと思っているのです」とパレルモ氏は結論づけています。

この記事は、Raconteur に掲載された「How AI will change buyer behaviour」を翻訳したものです。