AIが製造業にもたらす大きな可能性

Capgeminiが2017年に行った調査によれば、人工知能を取り入れたスマートファクトリーは、2022年までに、世界経済の規模を5000億ドルから1.5兆ドル増加させると予想されています。この記事では、近い将来に最大の影響を与えると予測されている、AIの五つの実用的な形態について紹介します。

1. 予測メンテナンスセンサー

機材や機械を効果的かつ最適に稼働させることは、製品の製造にとって決定的に重要です。問題はメンテナンスの予定が数か月前に計画されるということです。確かにそれによって故障は発生しませんが、機材が予期せず壊れてしまった場合には、製造業者がそれに対応するまでには少しの時間がかかってしまいます。スケジュールは未来を予測できないのです。

人工知能はある出来事がいつ起こりそうかを予測することが可能なので、製造業者は準備をし、素早く反応することで、生産性のロスを最小化することができます。

機器や機械に埋め込まれたセンサーは、稼働状況やツールのパフォーマンスを管理します。それらのセンサーは、モデル番号、製造年月日、保証の詳細などの構造化データから、過去のメンテナンスや修理履歴といった非構造化データまで、一つの機材についての膨大な情報を照合します。

こうしたデータを一度収集してしまえば、AIモデルはそれを使ってあらゆる異常を発見し、製造業者が何らかの欠陥が起こる前に予測的な行動を取り、ダウンタイムを最小化することを可能にします。

2. 在庫管理ドローン

人間の手で在庫を数えて、その目録を管理することは手間のかかる作業です。徹底的な在庫確認を行うために操業を停止する製造業者さえ存在します。

AI機能を備えたドローンは、急速に、こうした物流管理の問題に対する効果的なソリューションになりつつあります。倉庫内の配送ドローンとは異なり、そうした監査や在庫管理を行うドローンは、製造スケジュールに合わせて使用することが可能です。というのも、その際に立ち会う必要があるのは、ライセンスを持つドローンパイロットだけだからです。この仕組みはダウンタイムを最小化し、さらに製造チームが自身の業務に集中することも可能にしてくれます。

コンピュータビジョンと組み合わせた視覚システムを使うことで、ドローンは割り当てられた場所に自分で向かい、可変イメージと物体認識ツールを用いて、バーコード、QRコード、RFIDタグなどの、商品と在庫目録に関する情報を特定して収集します。その後、こうした情報を総合的なソフトウェアプラットフォームへ送ることが可能です。

大手金融サービス企業のEYは現在、AI機能を備えたドローンを使用して、監査プロセスの質を向上させる試みに取り組んでいます。

3. よりスムーズなカスタマーサービスに向けたチャットボット

製造業務以外にも、AIはカスタマーサービスやカスタマーエクスペリエンスを向上させる役割も果たします。

機械の方がうまく対応できる問い合わせがあります。例えば、顧客が自身の注文についての素早い返答を求めている場合などです。AIを活用したチャットボットの利点は、それが自分の行った毎回の会話から学習し、聞かれる質問の予測精度を向上させ、答えをスクリプト化し、さらに正確でリアルタイムな情報を提供するようになるということです。そうしたボットは誰と会話をしているのかを知っているので、その情報を使ってその顧客が必要な情報をピンポイントで取り出すことができます。

さらに、機械学習アルゴリズムは、ボットが製造業務についての理解を向上するように発展させることも可能です。他の実用的な形態のAIと統合することで、このボットは顧客に彼らの注文に関する将来的な問題について情報を与えることができるかもしれません。こうした情報は顧客サービス部門が取り扱うことができなかったものです。

例えば、もしセンサーがある機器が故障しそうだと感知したら、それは生産が一時中断することを意味し、それによって注文が完了して発送されるまでのプロセスにわずかな遅れが出る可能性があります。顧客にこのことを知らせることで、彼らに心の平静を与え、結果として顧客の側で発生する可能性のある、あらゆる遅れに対する準備ができるようにします。

4. よりスマートなERPソフトウェア

あらゆるコネクテッドデバイス、センサー、チャットボット、そして自動化されたシステムは、工場の現場から金融オフィスにいたるまで、モノのインターネットのエコシステムから得られた情報を、ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)ソフトウェアと組み合わせて使用して初めて効果的なものとなるのは間違いありません。

Gartnerは、2020年までに、市場でリリースされる新しいソフトウェアのほとんどは、AI技術を活用するようになるだろうと予測しました。多くの専門家も、AIを基礎としたよりスマートなERPソリューションが間もなく実現するという点で意見が一致しています。Evans Dataが12月に公表した報告書によれば、AIに取り組んでいる開発者の58%が、それを自身のERPソリューションに組み込む計画を持っているか、すでに実行しています。

ERPは戦略的決定を行い、日常的な操業タスクを実行するためのカギとなります。AIを活用したソリューションは、より深いインサイトを提供し、人間の労働者が見逃すか、特定するのに時間がかかってしまうパターンを発見することができます。また、その機能によって、製造業者がトレンドをつかみ、リアルタイムの予測を提供することが可能になります。

注意事項としては、製造業者はデータサイエンティストと協力して、従業員のスキルアップを検討する必要があることです。AIは単純な製造業務のいくつかの時代遅れなものにする一方で、アルゴリズムと機械学習の知識を持った、自社を差別化する際に貢献してくれるよりスマートな従業員の必要性が高まります。

5. 製品に埋め込まれたセンサー

AIにより製造プロセスがより効率的になる一方で、センサーを埋め込んだ製品を製造することにもメリットがあります。

ある企業がエンドツーエンドのサービスを提供する場合、それはおそらくオフサイトのサポートや、修理サービスを提供することになるでしょう。工場の現場のメンテナンスは一般的に数か月前に計画されるため、あらゆる定期確認もふつうは前もって設定されます。問題が何も報告されていなかったとしても、エンジニアは顧客を訪問しなければなりません。これはしばしばガソリンと人間の時間の無駄になり、生産性と効率性の低下を招きます。

製品にAI機能を組み込み、製品のパフォーマンスをモニターし、それによってメンテナンスの必要性を把握することは、さらなる利益をもたらします。製造業者が製品の現状を知り、問題が起こりそうな個所や改善個所を把握できるからです。収集したデータとインサイトは、将来の研究や開発決定の際に情報として利用可能です。これは製造業者に競争力を与えてくれる付加価値のあるサービスです。

 

この記事は、Raconteur に掲載された「AI’s biggest potential in manufacturing」を翻訳したものです。