マーケティングにおけるAI(人工知能)の15の例

人工知能(ウィキペディアの定義を参照)、特に機械学習は、マーケティングを含む多くの産業においてますます不可欠な要素となっています。

私たちの業界では、AIの入門書となるケーススタディと実用例がたくさんあります。

(注:AIのマーケティングにおける応用例に興味があれば、Econsultancy主催のSuperchargedというイベントが2018年5月1日にロンドンで開催されます。データサイエンス機能の構築方法にまつわるケーススタディとアドバイスが満載のイベントです。Ikea、DenskeBank、Channel 4、Just Eat、Age UK、RBSなどの企業から講演者が参加します。)

オススメコンテンツのキュレーションおよび提案

予測分析により、Netflixはオススメコンテンツを巧みに提示してくれます。この種のクラスタリング・アルゴリズムは、提案を絶えず改善しており、ユーザーは自身の視聴契約を最大限に有効活用できるようになっています。

多様なデータセットからの情報の統合は、AIの一般的な活用例です。

Under Armourは、IBMのWatsonと協業する多くの企業の1つです。スポーツアパレル企業である同社は、測定アプリのユーザーデータと、第三者によるフィットネスや栄養などに関する研究やデータを組み合わせます。その結果、ブランドは集約された知恵に基づいて適切な(パーソナライズされた)トレーニングとライフサイクルのアドバイスを提供することができます。

IBMはプレスリリースで次のように述べています。

“5キロのレースに備えてトレーニングしている32歳の女性は、彼女のサイズ、目標、ライフスタイルに基づいてパーソナライズされたトレーニングと食事プランを作成するために、アプリを使用することができます。”

“このアプリは天気と時間を考慮して自宅やオフィスの近くにルートをマップすることができます。彼女の食事を観察し、食生活を改善してパフォーマンスを向上させる方法を提案します。”

検索エンジン

2015年10月下旬、GoogleはAIシステムであるRankBrainを使用して検索内容の大部分を解釈していると発表しました。

RankBrainは、音声検索やユーザーコンテキスト(Google Nowなど)のより高度な解釈を行うだけでなく、コンテンツや検索内容の関連性を見つけ出すための自然言語処理(NLP)以上のものとなるはずです。

Rain AgencyのCTO、Andrew Howlett氏はAdWeekに以下のように話しています。

“レビューを提供している顧客は、実際の言語を使い、人々がGoogleで質問をするような表現を使います。例えば、誰かが「このお店はリーズナブルな価格でどこにも負けないチップ&サルサを出してくれます」とレビューするかもしれません。このレビューは「予算は限られているけど、おいしいチップ&サルサを食べられる良いレストランを探している」というような検索を行う人の役に立つことでしょう。”

もちろん、機械学習はGoogleにおいて新しいものではありません。すでに検索において使われており、広告やYouTubeのおすすめ機能にも利用されています。

不正行為およびデータ侵害の予防

クレジットカードやデビットカードの使用パターンとデバイスへのアクセスを分析することで、セキュリティ専門家は情報漏洩が起こった時点を特定することができます。

しかし、AIと関連があるのはカード発行業者だけではありません。

たとえば、小売業者は、(強力な認証方法を備えていない)ユーザー名とパスワードのみに基づくシステムを採用していた結果として、有名なデータ侵害事件(例えば、Neiman Marcus)の被害を受けてきました。

 

長年にわたって行われてきたこの分野のセキュリティ分析は、より洗練されたものになりつつあります。ソリューションは、新しい詐欺師の戦術に迅速に対応し、非構造化データも分析する必要があります。

自然言語処理(NLP)は、取引内のテキストを参照して、それを構造化データに変換する為などに使用できます。

United Services Automobile Association(USAA、退役軍人向けに金融サービスを提供する企業)などで使用されているような、より新しいAIの実装例では、最初期の段階における行動の異常さえも特定してくれるでしょう。

Neiman MarcusはAIを使っていればデータ侵害を防げていたでしょうか?

社会的意味論

MicrosoftのAIチャットボット「Tay」とその残念なつぶやきを見ると、塩と酢が混ざらないように、TwitterとAIの相性がすぐには良いと思えないかもしれません。

しかしながら、ディープラーニング(大規模なデータセット、つまり抽象的なパターンを認識するニューラルネットワークを対象とした機械学習を指す用語)は社会の様々な分野に影響を与えます。

感情分析や製品のオススメ、画像と音声認識―AIには、ソーシャルネットワークを全般的に改善する可能性をもつ多くの分野があります。

もし科学的なホワイトペーパーを読むだけの知識がないのであれば、多くの可能性を見出すために、FacebookのAIの調査にくまなく目を通してみる価値はあります。

Wired magazineは、(Facebookのソーシャルネットワーク以外での)AIの特に斬新な使い方を報じています。Facebookは、人間が生活している証拠を見つけるために、地形の俯瞰図を分析しているというのです。

こういった技術により、Facebookは、インターネットを提供するドローンを、それを必要としているコミュニティに配置することができるようになるかもしれません。

ウェブサイトのデザイン

Gridは「AI」ウェブサイトデザインプラットフォームです。

知的な画像認識とトリミング、アルゴリズムパレット、およびタイポグラフィの選択 – Gridは特定の領域でAIを使用して、Webデザインを効果的に自動化します。

製品の価格設定

何千もの製品が存在し、販売に影響を与える要因も数多くあるため、販売価格比率や価格弾力性の算出は困難です。

機械学習を使用した動的な価格の最適化は、そうした作業を手助けしてくれます。アルゴリズムを使用して販売動向と価格動向を関連付け、カテゴリ管理や在庫レベルなどの他要因に合わせて調整することができます。

LinkedInに掲載されているMohammad Islamによる紹介を見てみましょう。

予測による顧客サービス

顧客がどのような手段や理由で製品やサービスに関わりを持つのかを知ることは非常に貴重な情報です。

それはリソースのプランニングを可能にするだけでなく(電話対応に充分な人員がいますか?)、コミュニケーションのパーソナライズも可能にします。

USAAでテストされている別プロジェクトではこの技術を使用しており、Intelの一部門であるSaffronによって構築されたAI技術もそのプロジェクトに関わっています。

何千もの要因を分析することで、幅広いパターンの顧客行動を個々の顧客の行動に適用することができます。

AIはこれまでに、USAAが推測率を50%から88%にまで改善するのを助け、ユーザーが次にどの製品について、どのように接触してくるかをますます把握出来るようになっています。

Saffronのウェブサイトからのグラフィック。

広告ターゲティング

Baidu Researchの主任研究員であるAndrew Ng氏は、Wiredで次のように述べています。「ディープラーニングは、ユーザーの行動傾向をよりよく検出するために、より多くの兆候を処理できます。広告配信は、基本的にレコメンデーションエンジンで実行しており、それはディープラーニングの得意分野です。」

広告主の入札単価を最適​​化することで、アルゴリズムは、利用可能な広告枠の中から最善の顧客獲得単価(CPA)を実現します。

プログラマティック広告のターゲティングに関して、機械学習はユーザーがクリックする可能性を高めるのに役立ちます。それによって、ターゲットを絞ったときに表示するプロダクト・ミックスや、どのような広告文面をどの層に使用するかを最適化しているのかもしれません。

音声認識

Skypeの翻訳は今では、アラビア語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、北京語、ブラジルのポルトガル語、そしてスペイン語をサポートしています。

最近追加されたアラビア語翻訳を使用したレビュアーは、「間違いはあるけど、十分我慢できる範囲です。たいていは意味を理解できます」と述べています。

過去5年間のニューラルネットワークの進歩により、スピーチの翻訳はここまで進歩してきました。

私はそこに関わるロジックやコンピューティングを理解しているなどとは言いませんが、背景知識が必要ならば、Andrew Gibianskyのこのブログ記事を読んでみてください。

SiriとCortanaをはじめとするパーソナルアシスタントも、もちろん音声認識を使用しているため、知識豊富なほとんどの消費者は、それらがどれほど正確であるかを充分に把握していることは間違いありません。

キーボードを使用して小さくて複雑な文字を入力することが面倒な中国市場では、音声認識は特に重要です。 Baiduは音声検索で大きな進歩を遂げています。

言語認識

音声認識の背後には、言語認識の課題があります。それは、何を発話したかではなく、(他のものや概念との関連で)それが何を意味するのかということです。

これは、検索で使用されていることを考えると、消費者がよく知っている機械学習のもう1つの使用方法です。

しかし、言語認識は、顧客や見込み客からの非構造化情報を処理するために、ブランドによってますます使用されることになるかもしれません。

WayBlazerは、いわゆる「認識的トラベルプラットフォーム」であり、ホテルのチェーンや航空会社などの第三者の消費者向けアプリケーションをサポートするために、IBMのWatson AIを使用するB2Bサービスです。

たとえば、画像、おすすめ、旅行情報は、顧客データに応じてパーソナライズされています。

これは、非構造化テキストである場合もありえます。例えば、「家族でビーチでの休暇を過ごしたい。子供が楽しめる活動がたくさんあって、文化的な要素もあるところ」などです。

 

顧客セグメンテーション

直接入手したデータおよび第三者のデータをクラスタ形成アルゴリズムに組み込み、その結果をCRMもしくは顧客体験システムで使用することは、機械学習において急速に増加している使用方法です。

AgilOneなどの企業は、マーケティング担当者が電子メールとWebサイトの通信を最適化し、ユーザー行動から継続的に学習できるようにしています。

売上予測

再びコンバージョン管理の話となりますが、今回はインバウンドコミュニケーションによるものです。

予測による顧客サービスと同様に、インバウンド電子メールを分析して、過去の行動やコンバージョンに基づいて適切なアクションをとることができます。

返信をすべきか、面会の依頼をするか、アラートを作成するか、あるいはその見込み客が結局は不適格か?機械学習はこのフィルタ処理に役立ちます。

画像認識

Googleフォトを使用すると、あなたの写真データの中から「猫」を検索することができます。FacebookもSnapchat Face Swapも同様に顔認識を行います。

ARは、ホログラムを正確に投影するために、他者も含めた、あなたの目の前の風景を、より高度な方法で認識しています。

おそらく、最も魅力的な画像認識機能はBaiduのDuLightです。視覚障害者のために設計されたこの初期プロトタイプは、着用者の前に何があるかを認識し、それを彼らに説明してくれます。

もちろん、マーケティング担当者にとっては、コンテンツ検索から革新的な顧客体験まで、多様な目的に合わせて使用できます。

コンテンツの生成

現時点では、主に構造化されたデータを使用してコンテンツの生成が行われています。Wordsmithは、財務報告書などから自動的にニュース記事を生成するプラットフォームです。

これは、レポートが正しい方法でCSVにフィードされるということに依拠しています。は本質的には自動化です。

しかし、そう遠くない将来に、非構造化データでこのようなコンテンツ生成が行われることが計画されています。

ボット、PA、メッセンジャー

おそらく最も悪名高いケースを最後に紹介することになりましたが、多くの人々はチャットボットがモバイル機器におけるユーザーインプットの未来像であり、アプリにとって代わるものだと考えています。

チャットボットにただ話しかけたり文字入力をするだけで、ブランドのデータセットの活用と共に自然言語の分析が行われることで、サービスの提供を受けることができます。

Techcrunchが指摘しているように、F8でプレビューされたFacebookのプラットフォームによって、ひょっとするとチャットボットはフリーダイヤルにとって代わることになり、より快適なカスタマーサポートの体験を提供し、同時通話、ホールドタイム、煩わしい自動電話案内などの不快な要素が排除されるかもしれません。

それでは、AIにできないことは無いのでしょうか?

AIや機械学習では、その正確さを向上させ、アルゴリズムを適切に訓練するために、Googleの評価者などの人間が依然として必要であるということは指摘しておくべきでしょう。

労働力のクラウドソーシング(例:アマゾンのMechanical Turk)は、データセットを調節するためにAIがより多くの人間の手を必要とするようになるにつれて、おそらくさらに大きな産業となるでしょう。

しかし、もしあなたが自動化に置き換えられる仕事をしているのであれば(上記に多くのリストがあります)、AIがますます深刻な問題となるに違いありません。

この記事は、Econsultancy に掲載された「15 examples of artificial intelligence in marketing」を翻訳したものです。